Dr.Robert Cook氏について
この頭絡の開発者であるロバート・G・クック博士は、現在アメリカマサチューセッツ州にあるタフツ大学獣医学部獣医外科学名誉教授(代表者注:タフツ大学獣医学部は、私立大学獣医学部としては現在世界最高レベルを誇っております)ですが、1952年にロンドン王立獣医科大学を卒業後、イギリスおよびアメリカの獣医科大学臨床部門において有能な獣医師メンバーとして、キャリアを形成してきました。彼には競走馬のスピードに関して詳述した競馬関係者向けの著作が2冊あります。
1)口の中の呼吸因子と、口腔内の金属ハミとの関係
2)ハミ付き頭絡の及ぼす虐待的な悪影響(近日、日本語版翻訳予定)
また、呼吸因子からみた競走馬の選択を示したビデオも作成しています。
博士の研究分野は馬の口腔・鼻腔・気道ですが、特に、病的呼吸、競走馬の肺出血の原因について、およびハミを用いたコミュニケーションが及ぼす悪影響が中心です。
クック博士は学術誌に100近い論文を発表し、馬関係者向けの雑誌にも多くの記事を投稿しています。これらの記事によって、馬とって有益であると同時に、馬関係者・大動物臨床獣医師に対して実際的な価値を持つ知識が提供されてきました。
博士はしかし、そうした論文集よりもむしろ、1997年から始まった、馬に対するハミによるコミュニケーション法についての調査、および、ハミなし頭絡でのコミュニケートの方が現在のところ、他のどんな方法よりも馬および乗り手の双方をより幸福にする、という事の実証、という仕事が、より重要である、と考えています。博士のこの仕事は、馬のパフォーマンスを改善しようとして乗馬術の調教を行う、全ての人を手助けするでしょう。
馬の口腔は、解剖学上最も敏感な部分の1つです。 口腔内の歯がない部分である歯槽間に金属棒を押し込んで圧力をかける、という従来の操作法は、馬に対して全く不要な苦痛を与え、馬を脅えさせます。感じた恐怖は、馬に逃走反応や闘争反応(突然の暴走や、様々な形で現れる反抗)を引き起させます。
さらに、走ろうとしている馬の口腔内にハミを入れるという事は、食べようとしている馬に口輪を付ける事と、同じようなものです。ハミは禁忌であり、有害であり、乗り手の拳の使い方が不適切な場合には、そもそも残酷な道具なのです。
博士の研究によって、ハミが100以上の行動上の問題を引き起こしている事が証明されました。昔ながらの錆ついた、ハミによる操作に代るよりよい方法として、ハミなし頭絡が認められれば、開発者のクック博士にとって、大変幸せな事です。
ハミなし頭絡による操作は、ハミによる操作に比べてより安全で、より馬に思いやりがあり、より効果的なコミュニケーションを提供します。Dr.Cookハミなし頭絡は、伝統的なハミなし頭絡と比較すると、ハックモアより幸せをもたらし、bosal頭絡より有用で、sidepull頭絡より洗練されています。伝統的なハミなし頭絡は、全て痛みによって、あるいは痛みが与えられるのでは、という恐怖感に基づいて馬を操作するのに対し、Dr.Cookハミなし頭絡は、痛みなしで操作するのです。
馬の項周りと鼻周りを押さえる2つのループからなる簡単かつ巧妙な仕組みによって、乗り手が穏やかで痛みのない圧力をかけて頭部全体を押さえたり(速度を遅くする・および停止の扶助)左右どちらか片側を押さえる(方向転換の扶助)ことで、より効果的なコミュニケーションをとることができます。馬は、頭が向く方向についてゆくのです。
クック博士は、こうした頭全体を抱え込んで乗り手の意思を伝えるシステムを、"benevolent headlock" と呼んでいます。この頭絡は、人類が6000年前初めて金棒を馬の口に置いて以来、馬にとって最もよい物であるといえるでしょう。
Dr.Robert.Cook氏のインタビュー。英語ですが、ハミなし頭絡の利点について、様々な疑問に答える内容となっております。